『おんな太閤記』(1981)で、三英傑のうち、織田信長(藤岡弘)、豊臣秀吉(西田敏行)はドラマ初番から活躍するが、徳川家康(フランキー堺)は後半まで登場しなかった。小さい頃は冷たい感じの家康像の気がしたのだが、昨年、見直してみると、北政所(佐久間良子)を立てる器量の大きい武将として描かれていた。無理やり夫副田甚兵衛(せんだみつお)と別れさせられて政略結婚をさせられるあさひ(泉ピン子)に対しても『おんな太閤記』の家康は優しく接していたことが印象的であった。
家康を演じたフランキー堺(1929-1996)は朝日放送のクイズ番組『霊感ヤマカン第六感』(1974-1984)*1の司会者をやっているコメディアン的な俳優という印象が私にはあるが、『私は貝になりたい』(TBS)、『赤かぶ検事奮戦記』(テレビ朝日)など俳優と捉えるべきなのであろう。
時代劇では「必殺シリーズ」二度のスペシャルでの仕事人(名倉堂)与一、『鬼平犯科帳』第1シリーズの「盗法秘伝」などが印象にある。
大河ドラマでは上記、『おんな太閤記』の他、『太平記』(1991)*2での長崎円喜役が印象深い。
私は高校日本史で鎌倉幕府後期に権力を持った御内人(みうちびと)・内管領(うちかんれい)として長崎高資の名前を覚えていたが、父円喜(高綱)のことを『太平記』で改めて認識した。ドラマ初回で主人公足利高氏(後の尊氏)(真田広之)の父、足利貞氏(緒形拳)を詰問する場面が描かれるのだが、御家人としての家格はずっと上であるはずの貞氏に対して、*3慇懃無礼な姿を見せつつ、「これはお取り調べか?」の言の後、幕府を立ち去ろうとする貞氏に対して、フランキー堺が「讃岐殿(=貞氏)! まだ執権殿への挨拶を承ってはおりませんぞ。これは長崎円喜にあらず、北条得宗の名代ぞ! 控えよ!」と凄む演技が実に上手い。そして、北条得宗家、御内人長崎氏の専横*4に対する怒りを抑える名優緒形拳(1937-2008)の演技も流石である。
*1:女性の声が入るテーマ音楽も耳に残るが、大人になって、『大岡越前』、『江戸を斬る 梓右近隠密帳』、丹波哲郎版の『鬼平犯科帳』、『七人の刑事』、『ルパン三世』の第1シリーズ、『霊感ヤマカン第六感』、『パネルクイズ アタック25』がみんな山下毅雄(1930-2005)の作曲だと聞いて妙に納得した。私はどれも好きな曲であるが、そのメロディが日本人の哀愁を表していることがその理由だと思う。
7. フランキー堺、『おんな太閤記』の徳川家康、『太平記』の長崎円喜 - tn3のブログの注4で私が最初に買ったレコードはささきいさおの『銀河鉄道999』の主題歌だと記したが、小さい頃、母が買った最初のレコードは『大岡越前』のテーマだと聞いた。山下毅雄の音楽の一つの特徴は口笛と女性のスキャットであろうが、私は第3部の『大岡越前』(1972)が一番好きである(後半のシリーズのテーマはテンポが速過ぎる)。YouTubeで「懐かしい映像「大岡越前」オープニング主題曲」で検索したら出てくると思うので、聞いてみて欲しい。
*2:大河ドラマはあまり中世を扱わないが、鎌倉末期、室町初期を扱った『太平記』は名作であったと思う。
*3:源頼朝、頼家、実朝三代の源氏嫡流が途絶えた後の、嫡流に準ずる源氏の血筋は、八幡太郎源義家の三男足利義国の二人の息子を始祖とする新田義重と足利義康の家とされていたと考えられる。なお、徳川氏(家康の先祖の松平親氏)も系図上は新田義重の四男得川義季を祖とする世良田氏を先祖している。征夷大将軍は源氏でなければなれないとされる。
なお、「摂家将軍」と呼ばれる九条頼経(4代将軍)、頼嗣(5代将軍)も中学校の自由研究で調べたことがあるが、源氏と全く関係ない訳ではなく、頼朝の同母妹坊門姫を通して女系で繋がっている。また、「親王将軍」と呼ばれた惟康親王(7代将軍)、久明親王(8代将軍)、守邦親王(9代将軍)もそうである。ということで、鎌倉幕府の将軍は9代とも全て頼朝の父源義朝の子孫だと言える。
*4:しかし、息子高資(西岡徳馬)が賄賂を受け取っていたことを知った円喜は高資を厳しく打擲(ちょうちゃく)して嗜(たしな)める姿も描かれていた。